漢方には「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素があり、これらのバランスが崩れると、体に不調が現れると考えられています。
髪が抜けたり、白髪になったりする原因はいくつもあります。
漢方薬局では、その人の抜け毛や白髪以外の訴えなどから原因を探り、その人の症状にあった漢方薬を処方してくれます。
原因は3つのタイプに分けられる
血虚(けっきょ)
血虚の人は髪が細くて薄く見えるタイプ。
髪は、昔から「髪は血の余り(血余)」といわれ、血と髪の健康は深く関わっているとされていました。
特徴として髪のコシが無い、パサつくという方が多い。
改善させるためには髪の原料となる、血液の補給が必要です。
主な漢方薬
- 婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
- 四物湯(しもつとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
気虚(ききょ)
現代人に多い抜け毛や白髪は、ストレスや交感神経が優位になることによる『血流障害』で起こると考えられていますが、生命エネルギーである『気』が不足している「気虚(ききょ)」で起こっているとも考えられています。
そこで気の巡りをよくする漢方薬を用いられます。
抜け毛や白髪を気にする人は、それがストレスとなって、抜け毛や白髪がさらに進むという悪循環に陥ることが少なくありません。
気の不足を補う漢方薬はメンタルの改善にも働くため、ストレスがもたらす悪循環を断ち切る効果も期待されます。
気のめぐりをよくし、自律神経を整える漢方薬を使います。
主な漢方薬
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
腎虚
漢方では、抜け毛や白髪は「腎」が弱まったときに生じるという考え方もあります。
腎とは生殖や成長、老化に関わる機能を現したもので、この腎が低下すると髪が抜けたり、白髪が増えたりする、すなわち加齢現象が起こってくるとされています(西洋医学の腎臓とは意味が異なります)。
そこで、腎を補う補腎剤という漢方薬を用いることで、腎を元気にして髪のトラブルを抑えていくこともあります。
腎を補う漢方薬を使い、腎を元気にして抜け毛や薄毛を改善します。
主な漢方薬
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
薄毛でよく使われる漢方薬
柴胡加竜骨牡蠣湯 (さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力が中等度からやや強い実証に適しています。
これを服用して脱毛症が治った例がたくさんあります。
大柴胡湯 (だいさいことう)
実証が強い(体力が充実している)場合で、赤ら顔、高血圧で、頭が全体的に脱毛している場合に適しています。
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
体力の弱い虚証には、精神的ストレスに弱く、神経が過敏である場合に適しています。
柴胡加竜骨牡蠣湯と桂枝加竜骨牡蠣湯
自律神経失調症にも使われる漢方薬です(自律神経失調症とは、意志とは無関係に身体をコントロールしている自律神経のバランスがくずれて起こるさまざまな不快症状)。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
更年期以降で、虚証と実証との中間の証の女性、自律神経失調症ぎみで、イライラやのぼせ、ほてりがある場合に適しています。
特に円形脱毛症に効果的と言われています。
実証・虚証とは?
患者の体質が強靭(実証)か虚弱(虚証)かということ。
・実証=体質が強い
・虚証=体質が弱い
最後に・・・
漢方での薄毛治療は、一人ひとりの症状や体質に合わせて薬を調合できるのがメリットのひとつ。
体質を改善させることで薄毛や抜け毛のトラブルを解消します。
育毛剤とは別に使用してみても良いと思います。
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